新たな環境問題「光害」(ひかりがい)

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 屋外の照明器具の光による新たな環境問題「光害」(ひかりがい)を紹介しました。


 約15年前から長野市を中心に活動する天文観測の愛好家でつくるグループ(しなの星空散歩会 きらきら)は、最近、星が見えにくくなっていると指摘しています。環境問題にも取り組んでいる長野市のカメラマンの佐々木政彦さんも夜景を撮影するうち に、照明のあり方に疑問を感じるようになったと言っています。
 「問題なのは、傘のない360度光が出るタイプ。例えば街路灯は本来路面を照らす ための物ですが、中には路面は暗く、周囲が明るい。上から見てもとても明るい、非常に効率の悪い街路灯もある。一晩中ついてますから、植物にも影響ありま すし、家があると一晩中明るい状態であまり好ましくない」
 光の害は身近なところにも現れています。水田のすぐ隣にある大型店と道路の夜間照明の影響で稲に異常が出ていました。
 水田の所有者は「自然の明るさではなくて電気の明るさで丈がうんと伸びる。だけど穂がでない。稲だって草だって生き物。眠ることが大事じゃないか。」
と話します。
 光害を防ぐ照明は、水平位置より上に光を漏らさないのがポイントです。目的物だけを照らし、無駄な明かりを抑えれば、電力も少なくて済みます。
 ただ、光害対策には批判的な見方があるのも事実です。「暗くなると防犯上問題」「明るく賑やかな街がいい」という意見です。
 これに対し、長野市光害対策プロジェクトの大蔵満さんはこう指摘します。
「暗 くしてくださいと言っているのでなくて、照明の使い方を考えてもらうことによって光の害を減らしたい」「明るくてもいい。目的のところが明るければそれは それで問題ない。ただ、目的でないところに光を出すのをなくすことはおそらく殆どの人に歓迎してもらえる考えだと思う。」

「地方都市が全 て東京のまねをするのがいいのか。長野には長野のよさがある。例えば、道はとても明るくて歩きやすい。安全。運転手も運転しやすいのに空を見上げたら満天 の星が見える。それができたら地方の特色を活かすことになる。」とカメラマンの佐々木政彦さんは提案します。

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