自然写真家が見た「山の異変」

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 霧ヶ峰や八ヶ岳を拠点に30年以上、ヤマネやキツネなどの野生動物を撮り続けている富士見町在住の自然写真家西村豊(にしむらゆたか)さんにお話を伺いました。
 この冬の霧ヶ峰高原の八島ヶ原湿原では、ニホンジカに出くわしたくないホンドギツネが遠慮がちに歩き回り、獲物となるはずのウサギ、ネズミなどの小動物が活発に駆け回っています。富士見町の別荘地やゴルフ場ではシカの目撃回数が極端に増えました。人間とシカとの距離が年々近くなっています。別荘地の開発、そして木の実をつけない針葉樹の植林が山からシカを追い出したと言われています。
 また、別荘で国の天然記念物ヤマネが保護されました。ヤマネと気づかずに駆除されるケースもないわけではありません。動物といかに距離をとりながら共生するか、難しいテーマです。

 そして西村さんはこう言いました。
 「ここで人間が相手を尊重してもう1度考えを新たにして、彼らがどうやったら生活できるのか、人間とどうしたら共存できるのか、もう1回考える必要があるのではないでしょうか。そして、危害を及ぼしたり害があるのであれば、それをどうしたらいいか考えてもらうための材料として提供するための写真を撮りたい。証拠写真だ、ということではなく、それを見て我々が彼らをどう助けられるか、という考え方を出したい。」

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