長野県佐久市臼田にこの春誕生した「酒蔵ホテル」と、地域振興と日本酒への思いを形にし実現させた小諸市出身の女性経営者の奮闘を紹介します。
佐久市臼田にある創業300年余の蔵元「橘倉酒造」。この敷地内に2020年春、大正時代に建てられた古い建物をリノベーションしたホテル「KURABITO STAY(クラビトステイ)」がオープンしました。ツアーに特化した定員10人ほどの小さな宿です。このホテルで提供されているのが「蔵人体験」。本物の蔵人さながらの日本酒作りを体験できるツアーです。開業から半年以上経過した取材の日、はじめて2泊3日で行う蔵人体験ツアーにお客さんが集まっていました。実施が遅れたのは新型コロナウイルスの影響です。
季節はちょうど酒造りが本格化する晩秋。全国から集まった参加者たちは専用の作業着に身を包み、初めて経験する蔵人の作業に勤しみます。見学や酒造りの真似事ではなく、商品になる酒を作る作業をツアー客に体験してもらうというこれまでにない試みに挑戦したのが、運営会社代表の田澤麻里香さん。小諸出身、一児の母です。大学を卒業後東京の大手旅行代理店に就職、世界を飛び回る中で各地の観光振興のスゴさを肌で感じてきました。その後、故郷小諸の地域おこし協力隊として埼玉から単身赴任。この事業の構想が徐々に形になっていきました。
2泊3日のツアーに密着する中で見えてくる奮闘する田澤さんの姿。最終日の挨拶で彼女が語った思いとは?
