私が仕事に戻った理由(楠原)
女性にとって出産とは、とても尊いことであると同時に、
キャリアの一時停止でもあります。
誰しも、そのはざまで悩むことがあるでしょう。
私の母は専業主婦で、いつも私たち姉弟の傍で子育てをしてくれました。
母親は常にそこにいるもの、その安心感に包まれて育ってきたことが、決して当たり前ではなかったんだ
ということに、今改めて気づかされています。
子どもとの時間をできるだけ長く共有する、その憧れは今も心の中にあります。
それでも私が、仕事復帰を選んだのはなぜか。
それは「自分のものさしを持ちたかったから」。
入社して12年がたちました。楽しかったり、苦しかったり、
悔しかったり、感動したり、いろんな感情の引き出しを持てたのも、
アナウンサーという仕事に出会えたからだと思っています。
産休・育休中は、こんなに仕事から離れたことがなかったので、戸惑いつつも、
いろいろ考える時間になりました。
ふと、今後のライフプランを立てるために、なぜ働くのかを考えてみたんです。
生活のため?やりがい?もちろん両方あります。
それ以上に、私が12年間やめずに続けてきたアイデンティティであることに気づきました。
好きなこと、心震えることをしていないと、他人の尺度に惑わされてしまう。
いつしか誰かのものさしで自分の人生をはかるようになって、
自分らしさを見失ってしまうのではないかと思いました。
どんなに小さなものさしでも、自分で決めた選択を一つ一つ進んでいきたい。
これが、私なりの復職の理由です。
かつてabnで働いた先輩ママさんたち。
育児とキャリアのバランスに悩み、何人もの働くママが去っていきました。
「仕事か結婚か」の時代はもう卒業です。
「仕事も家庭も子育ても」それは決して欲張りではない。
先輩が残してくれた教訓を今度は私がこれからの未来につないでいく番だと思っています。
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