寄り添うワイン (楠原)
名前に親近感があって…なんていう私の不躾なご挨拶も
快く笑顔で応じてくださった須坂市の「楠わいなりー」楠茂幸社長。
楠と楠原…ね。これはシンパシーを感じずにはいられません。
街中にありながらも、吹き抜ける清々しい風や緑の香りを感じられる場所で
2011年からワイン作りをされています。
今月フランスで開かれた、国際大会で3種類のワインが金賞を受賞しました。
そのうちの一つ、グランヴォワイヤージュは3年以上瓶熟成したスパークリングワイン。
ハチミツのような甘い香りと、穏やかな酸味のバランスがとても心地よいワインだと
感じました。
なんて偉そうで自分でも笑えちゃいます。ワインを語るなんて100万年早い!
恐縮していると…
楠さん、丁寧に、優しく、ワインに敬意を払うように説明をしてくださいました。
楠さんのお人柄そのもののような、繊細な泡の口当たりが記憶に残ります。
元々航空機のリース会社に勤務されていて、脱サラし地元でワイナリーを
始められた異色の経歴。
経営のことを考えれば「量産」を優先するところ
長い時間をかけて熟成させ、じっくり育てたのちに出荷します。
「量より質」それが楠さんの信念。
世界的にはまだまだ日本のワインは認知度が低いそうです。
それでも、こうして世界コンクールで認められるようになり、
日本ワイン、信州ワインが知られるようになることがうれしいとおっしゃっていました。
ワインって、ワインを主役に、お料理を楽しむイメージが
私にはあったのですが、
楠さんが目指すのは、料理に寄り添うワイン。
そんな控え目で上品な考え方に触発されて、
一本お持ち帰りすることにしました。
さて、大変。
〝この子〟に寄り添ってもらう料理の修行…
味わうまでに、どれだけの熟成期間がかかるでしょうか。