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放送内容

からしいなりの謎を探る

からしいなりの謎を探る(いいね!信州スゴヂカラ)

皆さんは「からしいなり」という食べ物をご存知でしょうか?松本地域ではごく当たり前に食べられている郷土食です。酢飯の中に和からしが入り、油揚げが裏返しになっているのが特徴です。松本市内の大手スーパー、ツルヤなどで品数をそろえて販売しています。最近では長野市内のスーパーでもお目にかかれるようになってきました。地元の人以外、分からないことしきりの「からしいなり」。今回、その謎に迫ります。
松本市の仕出し弁当屋「若増伊平寿司本舗(わかますいへいすしほんぽ)」では50年前の創業時からからしいなりを作っています。作り方を拝見すると、油揚げを砂糖と醤油で甘辛く煮つけています。まだ「からし」は使いません。お揚げを裏返しに、“つるつる”な側を中にし、そこに和からしを塗ります。店主・上島英雄さんはこの方がからしを塗りやすいといいます。油揚げは“清水の田内屋”から仕入れているとのこと。“清水の田内屋”は、その名のごとく、松本市清水にあります。明治21(1888)年創業の老舗の豆腐屋です。料亭やホテルなどの要望に沿った豆腐と油揚げを作っています。地名が清水というだけあって敷地内から綺麗な地下水が湧き出しています。この場所を離れるわけにはいかないと4代目、井上貴栄代表は言います。からしいなりについて調べている旨を伝えると、“もう一つの田内屋”に行けば何かわかるのではと、“もう一つの田内屋”へ。明治18(1885)年創業の田内屋は、信州産大豆と地元の水で作る豆腐と油揚げが売りです。365日休まずに、一日およそ6500丁の豆腐と、およそ4000枚の油揚げを作っています。5代目、井上雄太代表の一押しの豆腐の食べ方を教えていただきます。頃合い見計らって、からしいなりの謎解きをしていると告げると、市内にある筑摩(つかま)神社に油揚げを納めているからそこで何かわかるのではとアドバイスをいただきます。
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筑摩神社の林邦匡宮司に話を伺うと、神社では毎年1月14日に“篝火(かがりび)神事”が行われ、その際、油揚げと和からしがセットになった“からしあげ”を売るのだそう。どうやら油揚げとからしの関係性はこの神社が始まりのようです。しかし、なぜ油揚げが“裏返し”なのでしょうか。何か風習のようなものがあったのでしょうか。それを探るべく、近所のお寺に聞き込みに。曹洞宗・全久院の倉科利行(りぎょう)住職いわく、死はとても怖いことだから“逆さまにすること”は、その恐怖から解き放つ意味があるとのこと。法事の席で出されていたものが美味しいとなれば日常でも食べたくなるでしょうと。ありがたいお話を頂戴します。

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取材先情報

  • TURUYA松本なぎさ店
    TEL:0263-29-4611
  • 若増伊平寿司本舗
    TEL:0263-27-3041
  • 田内屋商事
    TEL:0263-33-1365
  • 田内屋
    TEL:0263-57-5000
  • 筑摩神社
    TEL:0263-25-1835
  • 全久院
    TEL:0263-36-3211