長野市松代には「歴史的道すじ」という歩きやすく整備された道があり、地元の人達は親しみを込めて「歴みち」と呼んでいます。その歴みちのある区間を歩くと、戦国時代から昭和まで、時代の移り変わりを次々と感じることができる。そんな道を平沢幸子が散歩します。
散歩のスタートは戦国時代に武田信玄の命によって作られたとされる松代城跡です。作られた当時はすぐ近くに千曲川が流れていて、その水害の痕跡が残された石垣を探ってみます。また、今は埋められてしまった外堀の痕跡も探してみます。
真田邸や文武学校のあるあたりは、そこかしこに江戸時代の風情が残されています。そこから南、象山神社の方へ歩いて行くと「歴史的道すじ」の中でもみどころのひとつとなる、情緒ある川沿いの町並みが続きます。
幕末の先覚者「佐久間象山」を祀った象山神社。境内のすこし奥まった場所に小さな茶室があります。「煙雨亭(えんうてい)」は佐久間象山が不慮の死を遂げる直前まで暮らしていた京都の自宅にあった茶室。それを移築したものです。しばし、象山の気持ちになって、茶室に佇んでみます。
「歴史的道すじ」を少し離れて腹ごしらえ。地元の人達に愛される「ニュー街道一」という食堂にお邪魔します。店内は顔なじみの地元のひとでいっぱい。偶然食事に来ていた、地元観光大使“小松姫”のとなりで、店の裏メニュー「レモンラーメン」をいただいてみます。
再び「歴史的道すじ」を歩きます。象山神社から南下すると大正時代の建物がのこる「山寺常山邸」があります。大きな庭園を抜けて書院に入ってみると、そこには見事な「茶席」が。丸窓から覗く松代の風景にしばし癒やされます。
お散歩の最後は昭和の記憶を残す「松代象山地下壕」へ。太平洋戦争末期、松代の3つの山に掘られた地下壕のうちの一つです。平和への願いを新たにします。