楠原由祐子ブログ

「ここハレ」が始まります(楠原)

女子アナ、3年定年説。

入社したばかりの頃、私はワクワクと同時に、どこかで絶望のような気持ちも抱えていました。
「若いことが価値」という空気が、当時はまだまだ(今も?)色濃く残っていたからです。

入社3年くらいが一番の盛り。
30代になる頃には一線から外れ、画面から遠ざかっていく——そんな暗黙の了解のようなものを、私自身も感じていました。

年齢を重ねて経験を積むことは、本来キャリアアップのはず。
それなのに、なぜ女性と男性でこんなにも見られ方が違うのか。
悔しくて、モヤモヤして、仕方ありませんでした。

結婚や出産はキャリアのストップ。
あるいはアナウンサーとしての“試合終了”。

そんなイメージが怖くて、女性としてのライフイベントをどこか先送りにしていた自分もいました。

でも、やっぱり、どこかおかしい。

声を大にして訴えても、すぐに何かが変わるわけではありません。
それなら、その想いを取材を通して表現してみたらどうだろう。

そうして2年前に始まったのが、abnステーションの特集コーナー「あのね」でした。

社会の中で感じる違和感。
諦めたり、戦ったり、それでも前に進もうとしている人たち。
たくさんの方にお会いしながら、いろんなモヤモヤを共有してきました。

そのたびに、不思議と気持ちが少し軽くなるのを感じたんです。
「あ、私だけじゃないんだ」って。

みんな、それぞれの場所で、ちゃんと戦っている。

そこに、テレビの、取材の、そしてアナウンサーの仕事の価値があるのかもしれない。
そんなふうに思うようになりました。

生き方の根っこにある価値観をテーマにする番組は、うちの会社ではこれまであまり例がありませんでした。


ニュースでも、旅番組でもない。
少しふわっとしていて、説明しづらい番組です。

社内で理解してもらうのも、正直簡単ではありませんでした。

それでも、同僚や先輩、そしてこのモヤモヤに共感してくれる仲間が、一緒に走ってくれました。
おかげで、ようやくここまでたどり着くことができました。

迷ったり、悔しんだり、絶望したり。
それでも「負けるもんか」と思いながら、働いて、育児して、生活して。
みんな、必死に生きています。

そんな頑張りを認め合えたら。
自分とは違う価値観も、攻撃するものではなくて、少し面白がれるものになるんじゃないか。

「ここハレ」は、
そんなふうに、少しだけ心に余白が生まれるきっかけになれたら。

そんな思いで、お届けしていきます。

信州が、この社会が、優しくて、安心できる場所になるように、

ぜひみなさんと温かい心を育てていきたいと思います。