農家に学ぶ (楠原)
信濃町はトウモロコシの名産地です。
甘くてみずみずしい初夏の味覚。
今月末には市場に出回ります。
ただ、今年は日照不足で、生育が遅れているそう。
でも農家の吉川さんはいたって冷静です。
「どうしようもないからね」と一言。
天候もさることながら、今年は新型コロナを受けて、
トウモロコシを卸している直売所のお客さんが減ると見込んで
5月の作付けの段階で栽培面積を減らしたそうです。
しかも半分に。
例年1万5000本の収量を見込めるそうですが、
当然、それも半減。販売ロスを減らし、代わりに需要の変動が小さいコメの作付を増やしたそうです。
「二重苦ですね・・・」と問いかけると、意外な答えが返ってきました。
「何があろうとも、日々できることをするしかないんです」
農家にとって、多かれ少なかれ、毎年何らかしら天候によって
出来不出来が左右され、そのたびに、最善の策を考えます。
長年培った知識と勘、農家の技術の積み重ねによって
おいしい野菜が食卓に運ばれるのです。
新型コロナという敵が来ても、やることは一緒。
環境や時代をとらえ、今何をするのか、
それを考えるだけだと、おっしゃいます。
実は吉川さん、もともとは会社勤めをされていて、兼業農家でした。
ところが次第に農業が面白いと感じるようになり、専業に・・・
「畑と山で、「三密」になりようがないんだよね~ハハハ」
「本当にやりたいことをやっているから、
様々な壁に直面しても、自分で考えて、自分で対処する、
それができるのが、自営業。おもしろいよ~
ただ、儲からないんだけどアハハハハ!」
なんというたくましさ。
コロナ禍の中で、買い物に行けない、店が閉まっている、経済が回らない…
衣食住の自立がいかに難しいか思い知らされた中、
自給自足の底力を吉川さんから感じました。
取材の終わりにいただいた一言。
「楠原さん、一日一日どう生きるかです。」
ハッとした梅雨空の取材でした。
これからあまーいトウモロコシを食べるたび、
ピリッとからーい、吉川さん言葉を思い出し、人生を見つめなおしそうだなぁ。
よき出会いでした。