旅人:ラッシャー板前、松坂彰久(abnアナウンサー)
“パワースポットブーム”で、観光客溢れる戸隠。この地に電気も水道も通らない時代に、道を開き観光の礎を築いた信州人がいた。「大自然・戸隠」に惚れこんだ父と、その遺志を継ぐ家族の物語を描く。番組ではヨーロッパアルプスの麓・シャモニーの現地取材も実施。父から子供たちへ伝えられた「自然との共生」「本当の豊かさ」。夏から秋に渡る戸隠の美しい風景、さらにヨーロッパアルプスの絶景とともに、人と自然の交わりの中で生きる家族の姿を追う。
【登場人物】

佐々木常念さん(43)は、山小屋「戸隠小舎」の2代目主人。冬はプロスキーヤーとして、夏は山岳ガイドとして、オールシーズンを山とともに過ごす。その背景には、父・徳雄さんの影響があった。 安曇野市出身の父・佐々木徳雄さん(享年76)は、24歳の頃「自然のなかで暮らしたい」という想いから、「戸隠小舎」を建てた。当時の戸隠は森や牧草地が広がり、道路・水道、そして電気も通らない場所。道がないため資材は人力で運搬、テントを張って泊りこむという難工事だった。「戸隠小舎」オープン後には、仲間とともにスキー場を開設。「ネイチャーであり、リゾートではない」という理念のもと、自然に寄り添った形のスキー場を実現させ、戸隠に「観光」という新しい風を吹き込んだ。
苦楽を共にした妻・美津子さん(72)は、小舎開設の2年後、高校を卒業してすぐに東京から嫁いできた。やっと小舎に電気が通ったのは、さらにその3年後。当時の苦労を明るく話し、今も笑顔でお客を迎えている。

徳雄さんの娘・亜津美さん(41)は、高校卒業後単身フランスへ渡り、現在もヨーロッパアルプスの最高峰モンブランの麓で、冬はスキー教師、夏はハイキングガイドとして活躍している。亜津美さんもまた、父の意志を継ぎ「自然のなかで暮らす」という父の生き方を体現している。
「おぉ!信州人」は、毎月1回放送します。