・・・それは、「一目惚れ」でした。
人は何かを本気で好きになった時、生き方そのものを変えざるを得ないことがある。
それまでの自分を変えようと始めた登山で劇的に「雷鳥」と出会い、一目惚れをし、
彼らを知るために写真を始め、それまで勤めていた会社を辞め、
彼らの棲む北アルプス山中で働くことになった私がまさによい例です。
その謎多き生態をひとつひとつ紐解き、知っていく程に想いは深いものになっていきました。
オスは体を張ってメスを守り、メスは命を懸けてヒナを育てる。その営みは人間臭く、愛おしい。
おそらく彼らへの想いが、この叶うことのない片思いが、
私を吹雪荒れ狂う厳冬期の高山にすら登らせ、シャッターを切らせるのでしょう。
「人は出会い、知ることで変わることができる。」
この言葉は、私の中の「願い」や「祈り」のようなものです。
彼らを知り、彼らを取り巻く環境や生態系に関心を持ち、それまで興味のなかった
花や蝶をはじめとする様々な動植物を愛するようになったように、
私の写す彼らの姿が誰かの「変化」の一助になれば、
それは表現者として大変幸せなことだと思います。
今回の展示では私の主軸展示である「雷鳥 ~四季を纏う神の鳥~」と、私が”雷鳥写真家”として
生きるきっかけとなった”とある番いのライチョウたち”の物語をまとめた「こがねさんと銀さん」
というふたつの写真作品群を展開してみました。
これを機会にひとりでも多くの方にライチョウの魅力を伝えることができれば幸いです。
雷鳥写真家・高橋広平