abn 信州がんプロジェクト ~知ろう、考えよう、がんのこと~

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Q&A 教えて!がんのこと

がんと診断されたとき、上手な受け止め方についてアドバイスをお願いします。

社会医療法人財団 慈泉会 相澤病院
がん集学治療センター 緩和ケア科 統括医長
野池 輝匡 さん

2018.04.12 掲載

精神科医の神谷美恵子さんは、著書の中で、がんを宣告されたある主婦の手記を紹介しています。「私がガンにかかっているということがわかったとき実におどろきました。いきなりドカンと頭をなぐられたような感じでした。がんになったひとの話はきいていましたけれど、よりにもよってこの自分がなるとは!すべてのものが急に自分から遠のいてしまいました。・・・」※1

この遠のきの現象は、病気を告げられたときの患者さんのショックの大きさを物語っています。このようなことは、患者さんであれば、だれにでも起こりうることです。そして、これからどうなってしまうのだろう、治療はどうするだろうなど、とても不安な気持ちを持たれるでしょう。それでも多くの方は、時間の経過とともに、それまでの生活に戻ることができるといわれています。

病気と向きあうことは必要ですが、ひとりで抱え込まないで、まわりのご家族や親しい人に話をしてみてはどうでしょうか。もちろん治療にあたる担当医や、看護師などにも相談することは大切です。またがん診療連携拠点病院などには相談支援センターがあります。直接でも電話でも相談できます。

ところでアドバンス・ケア・プランニングということばをご存じでしょうか。今後の治療・療養について、患者さん・ご家族と医療従事者があらかじめ話し合う自発的なプロセスのことです。病気に罹ったら、これから自分がどのようにしていきたいのかなどを考え、周囲と共有しておくことは重要なことです。

治療方法が進んで、がんの治療成績はよくなってきています。難しいことかもしれませんが、自分を見つめる良い機会ととらえて、不安なことばかりを考えるのではなく、大切な自分をしっかりと開放してあげてください。

※1 出典:神谷美恵子, 生きがいについて(神谷美恵子コレクション), みすず書房, 2004.

参考文献:国立がん研究センターがん情報サービス, がんになったら手にとるガイド普及新版. https://ganjoho.jp/hikkei/home.html