abn 信州がんプロジェクト ~知ろう、考えよう、がんのこと~

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Q&A 教えて!がんのこと

がんと診断されたとき、納得できる治療方法を選ぶためには、どのようにしたらよいですか?

社会医療法人財団慈泉会 相澤病院 がん集学治療センター
化学療法科 統括医長 中村 将人 さん

2017.04.03 掲載

がんと診断されると、その病名を聞くだけで気が動転してしまうことがあります。また、医療者からはつぎつぎと検査や治療の説明があり、本当にどの治療がよいのか判断に悩んだり、実際に治療が始まったあともこの治療でよかったのか、考えたりすることもあるかと思います。ここでは納得できる治療方法を選ぶためのヒントを記します。また参考までにチェックシートを作成しました。必要に応じてダウンロードし使用していただけたらと思います。

1.病状を理解する

一言で『がん』といってもがんができた部位によって、また同じ部位のがんでも進み具合(『ステージ』、『病期』などとよばれます)によって治療方法や成績が大きく異なります。自分が『何のがん』で『ステージはいくつか』聞くようにしましょう。これだけで自分の病気の理解がすすみ、家族など他の人に伝えるときに正確性がまします。

2.治療の選択肢を理解する

現在ではおおくのがんでそれぞれの専門学会が監修した治療のガイドライン(共通した治療指針)が決められており、がんの種類とステージによってあなたに最適な治療が決められます。状況によって手術や化学療法など一つの選択肢が勧められる場合もあれば『手術もしくは放射線が勧められます』など、複数の選択肢が提示される場合もあります。自分の病状においてどのような治療の選択肢があるのかを聞いてみましょう。その場合にそれぞれの治療に期待される効果、メリット、デメリットもあわせて確認しましょう。

3.情報を選別する

現在インターネットや雑誌などの媒体にがん、がん治療に関する情報が多数記載されています。また、お知り合いのかたや周囲のかたのがん治療の体験について聞かれることもあるかもしれません。しかしがんという病気はがんの『種類』、『ステージ』によって、あるいはその患者さんの年齢や全身状態、最近では『そのかたのがんの遺伝子情報』によっても勧められる治療法やその効果がことなります。一般的な情報や他の人の体験がすぐあなた自身の病気に応用できるかどうかは判断が必要です。気になる情報がありましたら主治医、担当医や看護師などの病院スタッフ、最近では各病院にがん相談支援センターがありますので御相談いただけるとよいかと思います。

4.セカンドオピニオンを活用する

上にしるしましたように現在ではそれぞれのがんについてガイドラインが作成され、多くの施設でガイドラインにしたがった治療がおこなわれるため、施設による治療方針の違いというのは以前より少なくなっています。それでも他の意見も聞いてみたい、という場合には遠慮なく主治医に話してみましょう。セカンドオピニオンを申し込んだからその後その施設では治療を受けられなくなる、とか主治医の心象が悪くなる、などということはありません。違う選択肢が挙げられることもあれば、現在の治療方針に納得するきっかけとなることもあります。

以上簡単ではありますががんと診断されたとき納得できる治療方法を選ぶためのヒントを記しました。がんの治療は日々進歩しています。しっかりと自身の病気を理解してよりよい治療を選んでいきましょう。