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全焼した老舗の酒蔵 「復活」に向け仕込み完了

復活を目指し、また一歩前進しました。
佐久市にある老舗の酒蔵が去年、火事で全焼…仲間の蔵元の手を借りけさ、酒造りの仕込みを完了させました。

佐久穂町にある、黒澤酒造。
ここに、佐久市の古屋酒造店・荻原深社長の姿がありました。

■古屋酒造店・荻原深社長(46)
「皆さんの力を借りてこういうことができるようになった」

■黒澤酒造・黒澤孝夫社長(50)
「本当に何と言っていいか分からない。まさかこんな身近で起こるとは」

130年余りの歴史を持つ佐久市の古屋酒造店は去年12月、火事で酒蔵や家屋などを全焼。
蔵にあった酒米は全滅しました。
そんな中、佐久地域に13ある全ての酒蔵がそろって酒を造るプロジェクトが始動。
実は、そのための酒米は別の場所に保管していて、酒造りを再開できることになりました。

■古屋酒造店・荻原深社長(46)
「ありがたいという一言ですよね。火災直後は酒造りのことは考えることができなかったので」

荻原社長と、黒澤酒造の社長兄弟は20代の頃から同業の仲間として親交があり、荻原社長を快く受け入れました。

■黒澤孝夫社長(50)
「一番最初に会ったのは学生の時に、一緒に帰ってきたんだよね洋平(弟・杜氏)と一緒に」

■荻原深社長(46)
「広島で一緒だったんですよ、洋平杜氏とは。2人で一緒に車で帰ってきたりとか」
22日は水・麹・酒米などを混ぜ、発酵させる作業。
アルコールの元となる酵母が穏やかに増えるよう、4日間で3回に分けて酒米を混ぜます。
これを「三段仕込み」と言います。

■古屋酒造店・荻原深社長
「最初の温度が高くなりすぎちゃうと、発酵が一気にぐっと進んでしまうので、そうすると、荒っぽいお酒になってしまうことが多いので、温度を低めに下げてあげるということが大事ですね。気は使いますね」

目指す温度は、13℃です。

■黒澤洋平杜氏
「13℃だね。バッチリ(笑い声)」

こうして、三段仕込みの最初の作業が終わり…25日朝、3回目の酒米を投入して、無事、仕込みが完了しました。

■黒澤酒造・黒澤洋平杜氏(44)
「これから醗酵期間をしっかり管理して、荻原深社長の納得いくような酒ができたらいいなと思っております」

■古屋酒造店・荻原深社長(46)
「とりあえずここまで来たということで一安心してる部分と、色んな変化が出てきますので、非常にワクワクと楽しみな心境です」

全焼した古屋酒造店の再建の見込みは立っていませんが、それでも一歩を踏み出した荻原社長。仕込んだ酒は6月の販売を目指しています。