長野朝日放送・放送番組審議会(第314回)
開催年月日
2022/07/28
開催場所
4F 役員会議室
出席者
委員総数9名 出席委員数5名
- (出席委員)
- 遠藤守信委員長 丸山貢一副委員長 小林玲子委員 西澤仁志委員 茂谷浩子委員
- (レポート提出)
- 山口美緒委員 嶌田武司委員
- (会社側出席者)
- 土屋英樹代表取締役社長 薮塚謙一常務取締役・報道制作担当 持田義取締役・放送番組審議会事務局長 五十嵐洋人取締役・編成業務担当 小林明子報道制作局長 山下千帆編成業務局編成部長
議題
- 「動画配信時代 地上波テレビに望むこと」について
- その他の番組に対する意見要望について
- abnに寄せられた視聴者の声の概要について
- 2022年8月、9月の単発番組について
- 次回課題番組等について
議事の概要
- ネット時代になり同世代・世代間でも関心を持つものが違い、自分の主張に近い情報を知らないうちに選ばされ、非寛容で偏った感じになっている。地上波のメリットは、信頼性をもとに偏った視点を是正することにある。地上波に求めるのは意見が分かれる事象に対して多様な考えを提供すること。事実を伝えるとともに、本質の深堀りや、事実が与える影響についても多様な意見があることを継続して報道すること。また、小さな社会問題にも光を当てテレビで報道することによって関心を高める取り組みが求められる。
- どの局を見ても横並びのニュース項目では選ばれる局にはならない。長野朝日放送ならではの視点、独自性が必要。事実を伝えるだけでなく、その先がどうなるか、深堀した内容が必要。また、取材者が地域の人々との関係を大事にして取材していることが伝われば、地域で愛されるテレビ局になる。取材のマナー・行動をわきまえて取材する局であって欲しい。地域の発展に寄与するのもテレビ局の役目なので、高校野球、自然環境、健康、市町村情報など、地域の視聴者と結びついた取り組みを継続・蓄積してほしい。
- 地方から良質で、身近で多様な情報が発信されて住民の間で共有されないようになると地域のコミュニティーや家族の対話や議論する基盤が崩れる危険性がある。テレビ・新聞はニュースを届けるため、奇抜さや特異性に注目するが、その競争ではネット動画の閲覧数のほうに優位性がある。むしろ、家族やコミュニティー、地域が直面する課題をどう解決するかという普遍的なテーマついて、足元の地域から考える問題設定が重要。それを視聴者が共有して、議論できる言論空間の基盤を作る役割がテレビにある。テレビは制作過程を見せることができる。新聞でも記者が執筆したプロセスを紹介する取り組みをしており、テレビは制作スタッフが折に触れて登場する機会を設ければ、親しみが増していき番組制作の可能性を感じる。
- 地上波の優位性は、「ボタンを押すだけで視聴できる手軽さ」、「見たことのないジャンルに接触できる機会の創出」、「ニュースの信頼性」の3点。災害や緊急時に視聴者は冷静さと公共性を求め、誰でも使えるユーバーサルサービス性がテレビにはある。テレビではリアルタイムでのスポーツ視聴が人気だが、動画配信では何千万人規模の視聴では、システムダウンしてしまい、同時に多数の視聴は不可能であり、同時性ではテレビの優位性は非常に強い。動画配信の利点を取り入れるなら、リステング広告の導入が考えられる。
- ネット時代でコンテンツが増えるため、テレビ局には緊急性、娯楽性、嗜好性において質が高く独自性のある番組の提供が必要になる。テレビ局にとって動画配信は視聴の機会の範囲が広がる可能性があり、積極的に参入していくことも選択肢。ラジオを参考に「ながら見」に対応する工夫や地方にスタジオを配し、徹底的にローカル回帰する選択も考えられる。
- 視聴者の信頼を裏切らない情報の信ぴょう性の高さや少数意見も大切にしながらも、多くの視聴者が共感できるコンテンツを制作することが重要。テレビの同時配信はインターネットによる動画配信と共存するという意味で非常にすばらしいことで、今後のテレビ産業の大きな柱の一つとなりテレビメディアとしての活路を見いだした。配信でもしっかりした倫理観に基づく信頼の置ける旬な情報の提供を期待する。
- 動画配信、同時配信に地方局として取り組むことはテレビ離れからのテレビ回帰のチャンスになる。それはコンテンツ次第で、取材力、番組制作能力、地域での情報収集能力に磨きをかけて優れた魅力的なコンテンツを作ることが必要。地域特性を資源として利用して、地域の発展に貢献する番組づくりを進め地域とともに伸びる発想にたてば地域に愛されるテレビ局になることができる。
○2022年6月中にabnによせられた視聴者の声の総数は161件(内メール90件)、内訳は(お問合せ43件、ご意見20件、苦情0件、ご要望21件、その他77件)だった。