長野朝日放送・放送番組審議会(第294回)
開催年月日
2020/07/16
開催場所
4F 役員会議室
出席者
委員総数 9名 出席委員数 7名
- (出席委員)
- 遠藤守信委員長 丸山貢一副委員長 小林玲子委員 山口美緒委員 西條浩章委員 西澤仁志委員 榎本佳一委員
- (会社側出席者)
- 土屋英樹代表取締役社長 五十嵐洋人取締役・放送番組審議会事務局長 薮塚謙一取締役・報道制作担当取締役 郡司勝己報道制作局長 山岸寿美編成業務局長 山下千帆編成業務局編成部長
議題
- 「新型コロナウイルス報道とテレビの役割」について
- その他の番組に対する意見要望について
- abnに寄せられた視聴者の声の概要について
- 2020年8月,9月の単発番組について
- 次回課題番組等について
議事の概要
- 基本的な情報が十分でなかった初期は、テレビのニュースだけでは分かりにくいため後から新聞やネットで情報を補う必要があった。解説者やテレビ局によって言うことが違うため、SNS等から自分で情報を集めいろいろなものを見て判断すべきだと感じた。
- 新型コロナウイルスという未知の病原に接し、改めてテレビの役割がはっきりした。若者が多く使うSNSやネットメディアは迅速だが情報の正確さに欠け、誹謗中傷を拡散することもある。読者が高年齢層中心の新聞は、正確で信頼できる内容からじっくりと情報に向き合うことができる。一方テレビは、最も幅広い年齢層に見られており情報量も多く、与える影響は大きい。
- ワイドショー等での専門家の人選が、最悪のシナリオを語る人たちに偏っていた。異なる意見を持つ専門家を複数人招く、または取材するようにしないと世論を誘導しかねない。キャスターのコメントや繰り返し映し出されるウイルスの画像によっても過剰に恐怖心を煽り立て、デマや偏見、差別を生み出すことにつながったのではないか。
- 新型コロナウイルスに関する内容は重要なニュースではあるが、地震や水災害等とは緊急性が異なる。主にキー局アナウンサーの鬼気迫るような声色は必要以上に不安を煽り、聞き続けると気が滅入るものだった。ローカルでは暗くなりすぎず、明るすぎない調子でニュースを伝えていて、"声"がいかに大切か実感した。
- ワイドショー等で専門家とそうでない芸能人等が同じ土俵で話しているが、それぞれの役割をはっきりさせて専門家と素人を分けないとSNSと変わらなくなってしまう。
- 長い自粛期間で人とのふれあいが極端に減る中、笑いがストレスを軽減することを実感した。報道だけでなく、上質の娯楽・教養番組を放送するなど娯楽としてのテレビの役割に期待する。
- マスコミとして、PCR検査が増えないことを巡って現状を批判するだけでなく、地方の医療体制や公衆衛生の脆弱化を招いた過去の経緯を検証し、課題と方向性を示す役割がある。
- 社会の様々な立場から多様な意見を集約して、それらを反映した提言をメディアとして発信する、行政のチェック機能としての使命が十分果たされていなかった。
- 音楽や演劇といった分野が危機的な状況に陥る中、文化を守るためにテレビができることを考え実行してほしい。
- ローカルニュースでは地元の状況のほか、地方・東京間の移動について情報発信されていたが、隣県の感染状況や移動の可否も必要な情報であり報道してもらいたい。
- 感染症拡大防止と経済活動を両立させるために、接触確認アプリCOCOAを積極的に普及させるような報道があってもよかったのではないか。Go Toキャンペーンについても、非難するだけでなくポジティブなメッセージも発信する必要がある。
- 真面目で繋がりやきまりを重視する一方、時に排他主義に陥りがちな日本社会において、偏らず様々な視点から継続的に報道し、また視聴者の不安に寄り添うことで、健全な世論を醸成する役割を果たしてもらいたい。
- 感染者数ばかりでなく様々な視点から状況を判断し、第一波を総括して第二波に備える内容を伝えてほしい。
- テレビによって情報提供された専門家の病態解説と防疫策は、感染症への社会的リテラシーの向上と予防に大きく寄与した。また、番組内でのソーシャルディスタンシングにより、テレビが「新しい生活様式」を具体的に視聴者に示した。
- together から alone へと新常態の生活スタイルへの転換が起きたが、孤立化が進む時勢にあって、感動を共有するメディアとしてテレビが社会的絆の機能を果たした。特に地方局では身近な話題、共感する番組によって地域の絆を深めて孤独感を薄め、社会を勇気づける存在となっている。
- withコロナの時代にあって、テレビに接する時間が長くなったが、再放送が多く、再編集など新鮮さを出す工夫が欲しかった。また報道がコロナ一辺倒になったが、バランスをとってニュースを放送する必要がある。さらに新常態のライフスタイルの提示や、メンタルヘルスを考慮した番組が望まれる。
- その時おかれた環境によって視聴者の受け止め方も変化するため、その状況に見合う番組内容、情報量が大切になる。制作する側は常に視聴者目線で考えることが重要であり、第3者的によるチェックを受ける番組審議会のような場の必要性を再認識した。
○2020年6月中にabnによせられた視聴者の声の総数は143件(内メール57件)、内訳は(お問合せ56件、ご意見24件、苦情0件、ご要望37件、その他26件)だった。