abn 長野朝日放送

１６歳。何してたかなあ。高校から始めた剣道は、疲労骨折に悩まされ断念。その後は猛烈に勉学、に励む訳もなく。ラジオは聞いていた。深夜放送ね。どこにでもいる地味な高校生だった。

今回の主役は、長野市信州新町出身で今も在住のミュージシャン。彼は１６歳で、凄い経験をした。今から２０年前のこと。なんと、メジャーレーベルからデビューを飾ったのだ。誰もが知る大企業からＣＭ音楽のオファーが舞い込んだ、しかも何社も。煌めく大人の世界に１６歳で飛び込んだ。普通は調子に乗る、勘違いして当然。

でも彼は違った。故郷に根を張って作品を生み出すことに専念、プロデュースすることに価値を見出した。二十歳の頃だ。築２００年の実家を自分の手でリノベーション、オシャレな空間に変身させた。土蔵を、東京の音楽スタジオと見紛う蔵のスタジオに再生させ、日々音が溢れる。めったにできるもんじゃない経験をして今、片田舎から新しい音楽を生み出そうとしている。久米路峡とサフォークだけじゃないぞ、信州信町が彼の制作した作品で彩られる日もそう遠くない。