abn 長野朝日放送

去年、見事J1昇格を果たした松本山雅FC。J2参入3年目での昇格は史上最速ということもあり、信州のみならず全国ニュースでもその快挙は連日報じられました。そんなクラブの誕生は今から50年前。当時、松本駅前にあった小さな喫茶店「山雅」で生まれました。当時「山雅」の常連だった関精一さんがマスターからもらったサッカーボールがきっかけだったといいます。

今回は、そんなエピソードを再現ドラマで描こうということになり、同じく松本市にある昭和の香り漂う喫茶店「coffe西村」をお借りして撮影を行いました。しかし、そこには普段の撮影ではあまり見られない光景が…。撮影現場には、制作スタッフの誰よりも熱心に演技指導している男性がいたのです。その人物というのは、お借りした喫茶店のマスター西村省治さん69歳。西村さんは、50年前「山雅」に通っていた常連客の一人で、クラブ立ち上げのメンバーとして関わっていた人物です。今回「山雅」の取材を進めていく中で、当時のメンバーで喫茶店をやっている人物が仲間にいるという話を聞き、西村さんを紹介してもらいました。当時を知る人間だからこその忠実な演技指導。50年前の記憶を掘り起し、喋り方や会話の内容まで事細かく指導して頂きました。当時の喫茶店は、常連同士が自ずと集まる社交場のような場所だったといいます。

仲間同士で飲むハンドドリップのコーヒーが最高の贅沢でした。撮影現場にもそんな古き良き時代の空気が流れていました。スタッフ、そして西村さんと共に作り上げた再現ドラマ。そんな裏エピソードを知った上でご覧になるとまた違った楽しみ方ができるのではないかと思います。

ディレクター 村井 洋太郎