県内ニュース

御嶽山噴火災害から11年 今も消えぬ家族の思い

死者・行方不明者63人を出した御嶽山噴火災害から27日で11年が経ちました。遺族や行方不明者の家族は、大きな悲しみを抱きながら今年も追悼式に臨み、今の胸の内を明かしました。

■「黙とう」

27日に開かれた御嶽山噴火災害の追悼式。遺族や行方不明者の家族など63人が参列し、噴火した時刻と同じ11時52分に黙とうしました。

■夫を亡くした野口弘美さん
「きょうは11年前と同じ良い天気で、すごく秋晴れで紅葉してないけど、また来年も再来年も来るからねって言いました」

11年前の2014年9月27日、午前11時52分。御嶽山が噴火しました。山頂付近は噴煙に包まれ、その後、多くの噴石が飛散。58人が死亡し、今も5人の行方が分かっていません。

■野村敏明さん
「11年前のきょう、朝早くに亮太を家から送り出して以来、私を含め家族の人生は大きく変わりました」

追悼式であいさつした野村敏明さん。災害後、行方不明になっている亮太さんの父です。
亮太さんは叔父の正則さんと登山中に被害に遭いました。

■野村敏明さん
「亮太、19年間私たちの子どもでいてくれてありがとう。これからも亮太はいつまでも家族の一員です」

追悼式の会場には、叔父の正則さんの姿もありました。

■野村正則さん
「あの時、ああしていればよかった、こうしていればよかったという自責の、なんていうか思いがある」

これまで幾度となく独自で亮太さんの捜索を行ってきましたが、手掛かりはつかめず行方不明のままです。

■野村正則さん
「亮太を家に連れて帰ることが区切りの一つになると思うので、区切りが付くという思いはない」

■息子を亡くした荒井寿雄さん
「死んでほしくなかった。家に帰ってきてほしいといまだに思います」

■次男とその婚約者を亡くした所清和さん
「私としては(災害が)風化することが一番嫌。御嶽山に登って、剣ヶ峰まで行って、そこで手を合わせるのが私のできることだと思うので、体力の続く限りやっていきたいと思う」

■「噴火したらすぐ逃げてくださいね。11年前のきょう噴火しています」

遺族などでつくる「山びこの会」のメンバーは、早朝から王滝村の登山口で安全な登山への願いを込めたキーホルダーを登山者に配りました。

■三重から
「11年前にたくさんの人が亡くなっているので、心の中にとめつつ、噴火したらすぐ逃げれるのかとか頭に入れながら行動したい」

■静岡から
「慰霊の意味も込めて来た。その場所、場所で手を合わせていこうかなと思っている」

■山びこの会 シャーロック英子さん
「これは何の活動ですか、というような質問を受けると、やはり皆さん(災害を)忘れてしまっているなという感じがしますし、こういう地道な活動を続けることが噴火(災害)防止の一つだと思う」

追悼式の後には、山びこの会の総会が開かれ、御嶽山に残る噴火災害の跡をどうするべきか話し合いました。
「壊れた灯籠などをそのまま残し、噴火の恐ろしさを後世に伝えていきたい」などの意見が出たということで、今後、関係団体などと協議していくということです。