暗い舞台袖から、ステージに向かう芸人の背中を初めて見ました。格好良かったです。長野県在住・兼業農家芸人、松尾アトム前派出所。その肩書き通り、浅草東洋館での単独ライブ当日、松尾さんは朝5時半に起床、畑に農薬を散布してから上京してきました。つい先程まで、松川町のリンゴ農家だった男が「笑いの殿堂」とも言われる大舞台でスポットライトを浴びています。客は大ウケ。そのギャップが愉快で、また、輝かしい姿に感動しました。
番組は、松尾さんの一年を見つめるシリーズの第二弾、夏の物語です。リンゴの摘果、ナシの袋かけ、ブルーベリーの収穫などの農作業に、お笑いの仕事が隙間なく差し込まれてきます。畑から舞台へ、そして畑へ、と言ったように境目がありません。東洋館の翌日も、昼過ぎからナシ畑で汗を流していました。兼業農家芸人は「どっちつかずの職業」とも捉えられがちですが、松尾さんは、どちらも手を抜きません。
舞台に向かう背中が、なぜ格好良いのか、密着取材をして理由が分かりました。