大学時代、アルバイト先の居酒屋は瓶ビールをアイスクリーム用の冷凍機に水を満たして冷やしていました。当時の店主いわく「こうすると芯まで冷える」。その記憶がよみがえりました。
松本ブルワリーが自社のクラフトビールを提供するタップルームです。カウンターをはさんだ目の前で厚手のグラスに注いでくれます。客から注文を受けると、まずグラスを氷水にくぐらせる。手際よく水滴をふき取ると、いよいよ茶褐色が美しいビールの登場です。
ほどよく冷えたグラスから立ち上る柑橘系の華やかな香り、重厚なコクがありながらホップの苦みでキレがある。一気に飲むのが惜しい、ああ…しみじみうまい。
この店をきっかけに周辺には昼から飲める酒場が次々に誕生しているとか。分かるなあ、一杯では帰れない。醸造責任者の言葉が印象に残りました。「理屈抜きに飲める、晴れの日でなく〝ケの日〟のビールにしたくて」。はい、毎日でもいただきます。