おぉ!信州人

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おぉ!信州人取材記

50年前の秘蔵映像

野生のサルが温泉に入る姿を観察できる山ノ内町の地獄谷野猿公苑。近年、外国人観光客にも大人気です。50年前、この野猿公苑を開いた熱き鉄道マン、須坂市出身の原荘悟さんが今回の主人公です。

20140422_01長野電鉄の職員として湯田中駅に勤めていた原さんは、昭和32(1957)年、地獄谷で趣味の山歩き中にニホンザルの群れに出合い、魅せられます。折しもその頃、野生のサルが里に下りて畑を荒らす被害が頻発していました。原さんは、サルを山にとどめたい思いで、5年かけ、サルの餌付けに挑みました。

番組制作にあたり、私が演出のヤマグチDから託されたのは、当時の原さんの映像と肉声を可能な限り入手すること。開局から二十数年の長野朝日放送には50年前の映像は一切ないため、他の放送局や映画会社などに依頼したところ、大変な秘蔵映像がみつかりました。それは、当時アマチュアながら、原さんの奮闘を8ミリフィルムで撮り続けた上田市の故・田中豊雄さんの映画作品。なんとカンヌ国際映画祭で入選を果たしたという貴重なものでした。

昭和37年の開苑以来、地獄谷のサルたちは、数多くの写真家や映画監督をも魅了しました。子ザルが雪玉を抱えた写真を撮った動物写真家の岩合光昭さんもそのひとり。「ボスザルのような」原さんに「お前はまだサルの顔を見分けられないのか」と怒られながら夢中で撮ったそうです。四肢に障害を持った「モズ」という母ザルの生涯を19年にもわたって追い続けた渾身の映像記録も必見。監督の岩崎雅典さんが番組に登場します。

かわいいサルの映像はもちろん、世界中の人が訪れ、貴重な作品が生まれる場を作り上げた信州人の生き様を、ぜひご覧下さい。
(abn制作部 草間紀子)