おぉ!信州人

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おぉ!信州人取材記

名物おばあちゃんのラーメン屋! ふくや!白水!万両!

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20141105_02今回、番組で取り上げる長野市のラーメン屋3軒は、いずれも創業してから50年以上の老舗です。今では長野市も、各市町村にも美味しい店がたくさんありますが、50年前と言ったら外食産業など数えるほどしかありませんでした。ですから、家族で街に買い物に出て、ラーメンを食べて帰る、と言うのはとても贅沢でスペシャルな事でした。中でも小さい頃から通い続けている万両は、昔はいつも混雑していて、そのためラーメンがなかなか出てこなくて、私の父はちょっとイライラしているし、食べるのがまだ遅い当時5歳か6歳の私はそんなプレッシャーの中で一生懸命、麺をすすった記憶があります。食べ終わった両親の周りには、次に座ろうと言う客が立って待っています。そして父は食べ終わらない息子に、またイライラし始める。でも、そんな緊張の空気の中でも、万両のラーメンは美味しかった。「万両に行く」と言われれば、文句なくついて行きました。そして、いつの間にか誰よりもラーメンを早く食べられるようになってしまいました。

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20141105_04私が生まれた55年前、長野市には丸光と丸善と言う二つの百貨店がありました。その丸善にデパートガールとして務めていたのが白水の関谷房枝さん、76歳。聞けば、房枝さんが20歳の頃、誰もが「かっこいい!」とうらやむ映画俳優のような男性と同じ職場で運命的に出会ったそうです。デートを重ね、ほどなく結婚した二人は、何を思ったのか、花形のデパート勤務を離れ、カウンターだけの小さなラーメン店を始めます。不幸にも夫に先立たれた房枝さんは、毎年、もうやめようと思いながらもラーメンを作り続け、今年の11月で54年目を迎えます。毎日、仏壇に手を合わせ、夫と話をした後に店に出かけます。その姿を見ると、ずっと旦那さんを愛しているんだなぁと感じます。

現在、濃厚豚骨や鶏白湯、魚介系と進化したラーメンがしのぎを削っていますが、昔ながらの昭和ラーメンも、決して時代遅れではなく、王道の人気を今も保ち続けています。夜泣そばのふくや、平日午前11時。開店前に4、5人の列。お昼前には、座席がほぼいっぱいになりました。「これこれ、この味」。そう言う顔をして食べている常連客が長い間、店を支えてきたのだと思います。

プロデューサー 塚田心悟