おぉ!信州人

おぉ!信州人

おぉ!信州人取材記

信州の河川を舞台にした人間模様

8月盛夏の放送にふさわしい番組をと思い、企画を練り、信州の河川を舞台にした人間模様の内容に決まったのが7月初旬の事でした。大河の堂々たる流れの静けさや、透き通った清流の涼やかさを背景に、川漁を営む人や川下りの船を作る職人の姿にググッと迫って紹介しようと考えていました。

しかし、頃は梅雨まっただ中。今年は猛烈な台風も影響して、日本中が長雨と豪雨に悩まされました。低く垂れこめた雲り空を見上げながら、番組の撮影スケジュールも何度か組み直しました。出演のラッシャー板前さん、清水アキラさんにも、ロケ日の変更をお願いするしかありませんでした。梅雨の晴れ間があっても、増水した川は普段の姿になるまで一日二日かかります。そこにまた雨。梅雨時の川のロケは、ディレクター泣かせです。

20140805_01そして待ちに待った梅雨明け。ラッシャー板前さんには3日間集中して、千曲川つけば漁一家と天竜川で船の進水式の撮影に同行してもらいました。土曜日、「朝だ生です!旅サラダ」の中継で日本全国飛び回っているラッシャーさんですが、海なし県・信州では魚をとると言うイメージがあまりなかったそうです。千曲川のそばで暮らし、アユやスッポンなど川の恵みで生計を立てている中山泉さん(71)と一緒に、投網漁を体験。若鮎の塩焼きをほおばりました。「信州の川の豊かさを実感する味だった」とラッシャーさんは言います。

20140805_02そして、天竜川の船大工・泰阜村の半崎保道さん(79)が新しく造ったライン下りの船の進水式にも立ち会いました。会社の人、地域の人が汗だくになって手伝い、この大イベントを楽しんでいたと聞きました。さらにラッシャーさんは、「この川企画、ぜひパート2を!」と言いました。まだ放送にもなっていないのに随分気の早い話だと思いましたが、それだけ、信州の夏、川、人が気に入ったのだ、今回のロケがうまくいった証しなのだと受け取りました。

夏、水の事故が報道される度に胸が痛くなりますが、水の怖さを知り無理をしない気持ちがあれば、川は本来、楽しく、気持ちのいい場所です。番組はそんな川の涼やかさとともに、信州のグッとくる水の民の姿をお届けします。

長野朝日放送 「おぉ!信州人」プロデューサー 塚田心悟