MEDIA 報道・著述分野における個人情報の保護について

報道・著述分野における個人情報の保護について

平成16年12月16日

報道・著述分野における個人情報の保護に関する基本的な考え方

(社)日本民間放送連盟・報道委員会

2005年4月、「個人情報の保護に関する法律」(個人情報保護法)が全面施行される。この個人情報保護法は制定される過程で、報道の自由・表現の自由を規制する恐れが指摘され、「報道」「著述」などの分野については論議のすえに「義務規定」の適用が除外された。
法律の全面施行により、今後、自己の情報の流通を制限する権利を個人に認める「個人情報保護」という考え方が一般化していくことになる。このことにより、報道の自由・表現の自由にとって最大の前提条件となる情報の自由な流れが妨げられる可能性がある。
しかしながら、個人の人格権に由来する個人情報の保護という価値、それ自体を疑うことはできない。このため、報道の自由・表現の自由との調整が必要となってくる。
個人情報保護法第50条3項は、義務規定の適用が除外された分野についても「個人データの安全管理」「個人情報の取り扱いについての苦情の処理」など適切な措置を自ら講じて公表することを努力義務とし、一定の範囲で、報道・著述などの分野についても、個人情報保護の考え方を取り入れるよう求めている。
当委員会は、報道・著述の分野についても、報道の自由や表現の自由を守りながら、個人情報保護法の基本精神を尊重し、特に努力義務が課されている安全管理と苦情の処理に関しては適切に対応することが必要だと考える。
その際、報道・著述分野の個人情報の保護に関しては、報道の自由を尊重して、行政は関与しないとの考えを政府は国会で明らかにしており、報道機関自らが判断する必要がある。
個人情報保護法では、報道・著述の目的が一部でも含まれていれば、個人情報取り扱い事業者に課される義務規定の適用が除外されることになっており、民間放送の場合、報道局、報道制作局、情報局、制作局など報道・表現活動に関わるすべての業務が義務規定の適用を除外されるものと解する。