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全焼の酒蔵 仲間の手を借りて「搾り」

去年、火事で全焼した佐久市の老舗酒蔵が、仲間の蔵元の手を借りて酒造りを再開しています。
16日朝、初めて酒を搾り出す工程を終え、その味を確かめました。

■古屋酒造店・荻原深社長(46)
「これで一区切りとなりますので感慨深いというか、ようやくここまで」

佐久市にある古屋酒造店の荻原深社長。
酒造りを通して親交があった佐久穂町の黒澤酒造で、日本酒の仕込みをしてきました。

130年余りの歴史を持つ古屋酒造店は去年12月、火事で酒蔵や家屋が全焼。蔵にあった酒米は全滅し、再建の見込みは立っていません。
そんな中、佐久地域に13ある全ての酒蔵がそろって酒を造るプロジェクトがスタート。
古谷酒造店はプロジェクトのため別の場所に保管していた酒米を使い、黒澤酒造の協力を得て酒造りを再開しました。
これまで、米を蒸し…麹をつくり…それらを混ぜて発酵させる…1カ月にわたって、一緒に仕込み作業をしてきました。

そして16日朝。

■黒澤酒造・黒澤洋平杜氏(44)
「深社長の納得いくものが出来ていればいいなと思います。」

発酵を終えた「もろみ」を搾り、初めて、日本酒になりました。

■荻原深社長・黒澤洋平杜氏
顔杜氏「OK」洋平杜氏「まだちょっと荒走り感(荒い感じ)」深社長「苦味は抜けたね、抜けて、酸の感じがシャープに出てきた。
いい感じで、いいお酒です」

古屋酒造店の特徴である「軽やかさ」と、黒澤酒造の特徴である「柔らかさ」。
どちらも表れた、唯一無二の味わいになりました。

■古屋酒造店・荻原深社長(46)
「本当に酒造りは多くの人が関わって、手間暇かけて時間をかけてできるんだと実感したし、お酒の一滴は本当に重い一滴だと、改めて今回こういう形で酒造りさせていただいて感じることができました」

搾られた酒はタンクに貯蔵し、火入れなどの作業を経て完成となります。
6月以降の販売を予定しています。