絵本はマウスでめくれるよ!!
ママりんごはお料理(りょうり)上手(じょうず)。いつもおいしいご飯(ごはん)を作(つく)ってくれます。
「きょうのご飯(はん)は何(なに)かな~。」
りんご丸(まる)は毎日(まいにち)ウキウキしながら帰(かえ)ってきます。
「きょうはあったかいお鍋(なべ)よ。」
「え~~。」
りんご丸(まる)はちょっとがっかり。大(だい)好(す)きなカレーかハンバーグだといいなと思(おも)っていたのです。
ママりんごは、白(はく)菜(さい)をザクザクと切(き)ってトレイにうつし、えのきとしいたけをのせて、ネギも刻(きざ)みました。鶏(とり)のナンコツが入(はい)ったつくねも入(い)れて、おしょうゆとダシで味(あじ)つけしたお鍋(なべ)です。
「ママ~、お鍋(なべ)もいいけど、パグリのうちみたいにハンバーグとパリパリサラダも食(た)べたいな~。」
「そうね。もう少(すこ)し暖(あたた)かくなったらそうしましょうね。」
「暖(あたた)かくなると、作(つく)ってくれるの?」
「野菜(やさい)は季節(きせつ)によって採(と)れる時(じ)期(き)が違(ちが)うでしょ。白菜(はくさい)は冬(ふゆ)に採(と)れるから、今(いま)が一番(いちばん)おいしいのよ。パリパリサラダにするきゅうりやトマトは夏(なつ)の野菜(やさい)だから、夏(なつ)においしく食(た)べられるのよ。」
「え~、じゃあ冬(ふゆ)はきゅうりやトマトが食(た)べられないの?」
「そんなことはないわ、りんご丸(まる)。」
ママりんごは教(おし)えてくれました。
「きゅうりやトマトは暖(あたた)かくないときれいな色(いろ)にならないから、寒(さむ)い冬(ふゆ)にきゅうりやトマトを作(つく)ろうとすると、ビニールハウスを作(つく)って暖(だん)房(ぼう)で暖(あたた)めないとできないの。そうするとたくさんのエネルギーがかかってしまうの。」
「ボク知(し)ってる。」りんご丸(まる)が言(い)いました。「電気(でんき)をたくさん使(つか)うとエコじゃないってらいぞう博士(はかせ)が言(い)ってたよ。」
「そうよ。冬(ふゆ)に採(と)れる白(はく)菜(さい)やネギは、寒(さむ)さに強(つよ)いから、余(よ)分(ぶん)なエネルギーを使(つか)わないし、体(からだ)をあたためる効(こう)果(か)もあっていいのよ。」
ママりんごの話(はなし)を聞(き)いているうちに、火(ひ)にかけた鍋(なべ)からしゅーしゅーと湯気(ゆげ)があがってきました。パパりんごも、
「冬(ふゆ)には冬(ふゆ)の野菜(やさい)、夏(なつ)には夏(なつ)の野菜(やさい)を食(た)べると体(からだ)にもいいということだよ。そろそろいいかな。」
と言(い)いながら、みんなのお皿(さら)にとりわけ始(はじ)めました。
「パパは、ちょっと唐辛子(とうがらし)をかけてぴり辛(から)にしよう。」
「じゃあ、りんご丸(まる)はゴマ味(あじ)にする?」
湯気(ゆげ)で部屋(へや)の中(なか)も暖(あたたか)かくなってきました。
「お鍋(なべ)って、体(からだ)もあったまるし、部屋(へや)もあったまるね!」
りんご丸(まる)の発見(はっけん)です。
「トントン。」
玄関(げんかん)で音(おと)がしました。
「誰(だれ)か来(き)たのかな?」
りんご丸(まる)が見(み)にいくと、ドアに紙(かみ)切(き)れがはさんでありました。そこには、きたない字(じ)でこう書(か)かれていました。
ふゆにとれるやさいをえらべ
1 きゅうり
2 はくさい
3 とうもろこし
「何(なん)だこれ?」
びっくりしたりんご丸(まる)、でもすぐにわかりました。書(か)いたのはらいぞう博士(はかせ)です。ところどころに小(ちい)さな羽(はね)が飛(と)んでましたから。そして、答(こた)えもすぐにわかりました。
「答(こた)えは2番(ばん)のはくさいだよ。」
りんご丸(まる)は2にマルをつけて、ドアの外(そと)に紙(かみ)を置(お)きました。
「まだ、つくね食(た)べてなかった~。」
りんご丸(まる)は、夕(ゆう)ごはんの続(つづ)きを食(た)べようと、テーブルに戻(もど)りました。
ドアの外(そと)では、りんご丸(まる)の様子(ようす)を見(み)ていたらいぞう博士(はかせ)が、エコなことを勉強(べんきょう)するともらえるチャレンジワッペンを置(お)いていました。りんご丸(まる)は、また一枚(いちまい)きらきら光(ひか)るワッペンを手(て)に入(い)れたようです。
作 こばやし 明子
絵 ながはり 朱実