絵本はマウスでめくれるよ!!

ほたるはあまい水が好き

ほう ほう ほーたるこい
あっちの水(みず)は にーがいぞ
こっちの水(みず)は あーまいぞ
ほう ほう ほーたるこい

なかよしのおさるが教(おし)えてくれたわらべうたです。りんご丸(まる)は「ほう、ほう」とふくろうが鳴(な)くようなところが気(き)に入(い)って何度(なんど)も歌(うた)っています。
パパりんごがその歌(うた)を聞(き)いて言(い)いました。「りんご丸(まる)、ほたるを見(み)たことがあるかい。」
「ううん、見(み)たことないよ。お尻(しり)が光(ひか)るっておさるが言(い)ってたけど。」
「じゃあ、みんなでほたるを見(み)に行(い)こうか。」
「やったー。本物(ほんもの)のほたる!おさるとぱぐりも誘(さそ)っていい?」
「もちろんだよ。」

みんさっそく、おさるとパグリを誘(さそ)ったりんご丸(まる)、ほたるを見(み)に出(で)かけるのは、太陽(たいよう)が山(やま)にしずみかけた頃(ころ)です。ほたるの里(さと)は、森(もり)を抜(ぬ)けたのっぺら山(やま)のふもとにあります。
 ほう ほう ほーたるこい
 ほう ほう ほーたるこい

りんご丸(まる)たちが、元気(げんき)に歌(うた)いながら歩(ある)いていくと、だんだんあたりも薄暗(うすぐら)くなってきました。ほたるの里(さと)に近(ちか)づくと、りんご丸(まる)たちもわくわくしてきました。夜(よる)のお出(で)かけなんて、夏(なつ)の花火(はなび)のときくらいですからね。
パパりんごは言(い)いました。
「ほたるは水(みず)がきれいなところにしかいないんだ。この川(かわ)はきれいだからたくさんいるよ。」

「ほう ほう ほーたるこい。」
りんご丸(まる)が大(おお)きな声(こえ)で呼(よ)びました。
「りんご丸(まる)、ほたるは恥(は)ずかしがりやだから、静(しず)かにしないと出(で)てきてくれないんだよ。」
パパりんごがしーっと指(ゆび)を立(た)てながら、教(おし)えてくれました。

「こっちのみーずは あーまいぞ。」
パグリがひそひそ声(こえ)で言(い)いました。
「あっちの水(みず)はにがいからこっちこーい。」
おさるもささやくように言(い)いました。
しばらくじーっと、薄暗(うすぐら)い小川(おがわ)をみんなで見(み)つめていると・・・
「あーっ、光(ひか)った。」
生(お)い茂(しげ)った草(くさ)のかげで、ほのかな光(ひかり)がゆらゆらと動(うご)きました。りんご丸(まる)もおさるもパグリも、目(め)をまんまるにして見(み)つめました。

すると、小(ちい)さな光(ひかり)が浮(う)かんでは消(き)え、浮(う)かんでは消(き)え、次々(つぎつぎ)に姿(すがた)を現(あらわ)してきたのです。たくさんのほたるが薄明(うすあ)かりの中(なか)で舞(ま)い始(はじ)めました。
「ボクたちきれいに光(ひか)っているかい?」
どこかで声(こえ)がしました。りんご丸(まる)たちがきょろきょろしていると、ひときわ光(ひか)るほたるがりんご丸(まる)の近(ちか)くに舞(ま)ってきました。

「ボクらの仲間(なかま)、たくさんいるだろう。」
「あれ、ほたるさんの声(こえ)だ。」
「そうだよ。ボクたちに会(あ)いに来(き)てくれてありがとう。」
りんご丸(まる)が聞(き)きました。
「ほたるさん、どうして光(ひか)るの。」
「それはね、恋人(こいびと)を探(さが)すからだよ。」
「え~、恋人(こいびと)探(さが)すの~。」とみんなびっくり。
「そうだよ。オスが光(ひか)りながら飛(と)んでいると、メスも草(くさ)むらで『こっちだよ。』って光(ひか)るんだ。」
「へえー、何(なん)だかドキドキするね。」

りんご丸(まる)たちは、ちょっとはにかみながら顔(かお)を見合(みあ)わせました。
「だから、たくさん光(ひか)っているのはたくさん出会(であ)いがあるってことなんだ。」
ほたるさんは、自分(じぶん)たちは短(みじか)い間(あいだ)しか生(い)きられないけれど、来年(らいねん)になると子(こ)どもたちが生(う)まれてくると教(おし)えてくれました。
「今度(こんど)来(き)たときには会(あ)えないの?」
「この川(かわ)の水(みず)がきれいで草(くさ)もたくさん茂(しげ)っていれば、ボクたちの子(こ)どもに会(あ)えるよ。」
「そっか。ほたるさんの子(こ)どもにはまた会(あ)えるんだ。」

「じゃあ、来年(らいねん)も会(あ)いにこよう。」
「この川(かわ)がほたるさんの好(す)きなあまい水(みず)になるにはどうすればいいか知(し)ってるね、りんご丸(まる)。」パパりんごが聞(き)きました。
「うん、ゴミを捨(す)てたり、汚(きたな)い水(みず)を川(かわ)に流(なが)したりしちゃいけないんだよね。」
ほたるの光(ひかり)がりんご丸(まる)たちから離(はな)れて、数回(すうかい)強(つよ)くぴかぴかしたように見(み)えました。

作 こばやし 明子
絵 ながはり 朱実

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