abn 長野朝日放送

木曽の旧中山道沿いには数々の名所がありますが、今回は全国にも珍しい、とても不思議な名所・崖家造り（がけやづくり）を松坂彰久アナウンサーが興味深々で探訪します。見てびっくり！知ってなるほど！の崖家造りです。

そもそも「ガケヤヅクリ」とはナンゾヤ、聞きなれない言葉もさることながら、地元の皆さんの「ちょっと怖い～」「昔だからできた」「今ではあり得ない・・」の意味不明の返事が、松坂アナの好奇心をさらにそそります。崖家造りは言葉通り、崖っぷちに建つ建物。通りから見ると普通の2階建てですが、裏から見れば、3階にも4階になっている不思議な建物です。崖家造りがあるのは木曽川と本町通りに挟まれた商店街の一角。約200メートルの間に30軒が並びます。明治時代に開通した狭い通りが、その後の車社会の到来で拡幅され、仕方なく商店は木曽川に後退し、川の上にせり出し誕生した、木曽ならではの知恵と工夫の生活遺産です。

そんな崖家造りで生まれた三村喜一郎さん（85）の少年時代の思い出は、家の裏から木曽川へ降りて遊んだこと。当時、崖家造りに暮らす子どもたちの裏庭は木曽川でした。崖家造りの宿として人気の森富旅館があります。川にせり出した部屋が特に人気で、常連客から「絶対に直したらダメ」と言われ、ご主人は自慢顔。実は崖家造りは、今の建築基準法では許可されない建物。修理はOKですが建て直すことはできません。今や崖家造りの魅力に魅かれる人々も多く、町からも「貴重な建物」として再評価の動きが始まっています。

番組では崖家造りをテーマにした染色家の作品も紹介。100年以上を経て、今も木曽川沿いに並ぶ、不思議な名所・崖家造りとそこに暮らす人々の変わらぬ人情を紹介します。