abn 信州がんプロジェクト ~知ろう、考えよう、がんのこと~

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Q&A 教えて!がんのこと

がんの治療と仕事は両立できますか? 休職や退職をしなければなりませんか。

長野市民病院 副院長、がんセンター長、
呼吸器外科・乳腺外科部長 西村 秀紀 さん

2017.12.01 掲載

がんと診断されると精神的に余裕がなくなり、仕事を継続することは難しいと考えがちですが、早まって辞めることは避けてください。

職場に迷惑を掛けてしまうと独りで抱え込まないことが大切です。治療を始める前に上司や同僚、人事部(あるいは総務部)と相談しましょう。仕事を継続するためには周囲の理解や協力は不可欠です。また、休職や保障に関しては勤務先の就業規則に決められていますので確認されることをおすすめします。

働きすぎたのがいけなかったのかもしれないと考えて、治療に専念しようと退職を選択される方もおられますが、一旦退職してしまうと再就職は容易でない現実もあるようです。仕事のストレスでがんが発生したなどとは思わないでください。仕事が生きがいであった人には、むしろ退職は治療中の精神面に悪影響を与える可能性すらあります。

治療中は仕事との両立に自信が持てないと考えられる方も多いようですが、治療法は進歩しています。負担の少ない手術法で回復は早くなり、入院期間は短縮し、抗がん剤治療も外来通院で行われることが多くなりました。仕事をして生活にメリハリがつき、気分転換になり抗がん剤治療を乗り切った人は大勢います。

治療を始める前に、まずは仕事と治療の両立について担当医に尋ねてみましょう。今後の治療予定から、仕事の継続が可能か、休職はどのくらい必要か、今までと同等の仕事に復帰できるか、などについて担当医に意見を求めてから職場に相談してください。担当医は必要に応じて、病院内の医療ソーシャルワーカーや社会保険労務士等と連携します。

最後に、家族の理解や協力が何より大切です。家族はどちらかといえば心配のあまり治療に専念するよう患者さんに勧めがちです。一方、患者さんは体力が十分に回復していないのに、家族のために休んだ分を挽回しなければ、と頑張りすぎてしまいがちです。治療中の働き方については、家族間でも十分相談なさってください。