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去年の夏、信州のてっぺん・3190mの奥穂高岳にひとりだけ立つことのできなかった平沢幸子がリベンジ登山。目指すは奥穂に次ぎ信州で2番目に高い北アルプス3180mの槍ヶ岳。
「ならば俺がついていく、上司として」とブチョーが名乗り出た。上司と部下、二人三脚の珍道中は2日目までなんとか順調だった。平沢がずっと首に巻いていたのは、三四六が河童橋で手渡してくれた「幸せの黄色いタオル」。そこには「一歩全力」という直筆のエールが入っていた。「お前が3180mの頂に立てた時、オレはヘリで見届けにくる!だから、このタオルをオレに向かって高く掲げろ!」三四六はそう言ってふたりを送り出した。人生初の本格登山に挑戦したブチョーは、3080mの山荘に辿り着いた時、不覚にも男泣きした。平沢もリベンジの舞台に立った。
3日目の朝…頂上アタックを目前にしたふたりを待っていたのは、立っていられないほどの暴風と槍の穂先をすっぽり隠すように立ちこめる濃霧。山頂アタックは危険すぎる、そう判断が下された。小屋に留まり天気の回復を待つことにしたものの、平沢の脳裏には、1年前の悪夢がよみがえってきた。それに、翌日もし頂上に立てたとしても、三四六は仕事で都合がつかない。頂上で出会うという約束が果たせなくなってしまった。悶々とした気持ちでただ時間が過ぎるのを待つ平沢、すると、目の前に突如ライチョウが現れた!美しくも厳しい自然にあえて身を置き生きてゆくことを選んだあのライチョウだ。ブチョーが言った。「きっと、君のあしたのリベンジを応援しに来てくれたんだよ」。「ライチョウだって頑張っている」平沢はそう思った。
果たして、二年越しの夢は叶うのか…。