2006年09月09日 13時00分 放送

女と愛とミステリー 「高木検事室の事件簿 "紫陽花は死の香り"」

【原作】
松木麗 「紫陽花の花のごとくに」より

【脚本】
中岡京平

【監督】
齋藤光正

【主なキャスト】
高木  彰 … 緒形 直人
神崎絵莉子 … 鷲尾いさ子
野村麻由美 … 中山  忍
神崎 清祥 … 中原 丈雄
倉本 伸也 … 北村総一朗
遠藤  浩 … 徳井  優
園部 恵一 … 池田 政典
園部 和子 … 高田 敏江
岡本 波子 … 片岡 富枝
永峰 一臣 … 岸辺 一徳
佐伯 雅弘 … 夏八木 勲
ほか。

【あらすじ】
  新進気鋭の東京地検検事・高木彰は世田谷で起きた陶芸家・神崎清祥の殺人事件の担当を依頼される。被疑者は陶芸家の妻で女流陶芸家の神崎絵莉子。絵莉子は浮気を疑い、日頃から暴力をふるう夫に耐えかね、つい夫が寝ている間に首を締めて殺したと自首してきたのだった。
 高木はこの事件を依頼され、人生の皮肉を感じていた。絵莉子は12年前、高木が交際していた佐伯麻由美の姉だったのだ。高木の脳裏に一心不乱にピアノを弾いていた美しい絵莉子の姿が蘇る。
 翌日、高木の検事室に被疑者として手錠をかけられた絵莉子が現れた。絵莉子の美しさは12年前と変っていなかった。
 高木は個人的な感情を押し殺し、絵莉子の取り調べを始める。高木は絵莉子の供述に不自然な点があることを指摘する。10時半の帰宅後、暴力を振るわれてから12時に犯行に及ぶまでの時間と、夜12時に犯行に及んでから午前5時半に自首する電話をするまでの時間の空白があるのだ。そして、犯行後部屋を片付けたり被害者の体を清めたりしたことは証拠隠滅とも取られかねないと絵莉子に伝える。しかし、一切釈明しようとしない絵莉子に高木は疑問を覚える。
 調べを終えた高木は、再び手錠をかけられ、立ち去ろうとする絵莉子に思わず、「こんな形で再会するとは…」と声をかける。絵莉子は何も言わないが、高木は絵莉子が自分を覚えていたことをその表情から確信する。
 東京地検を出た高木は書店で神崎夫婦のインタビュー記事の載った雑誌を購入し、ふと見つけた喫茶店「魯山人」に入った。絵莉子のファンだったというマスターは、神崎絵莉子のトレードマークだった紫陽花の釉薬が幻になったと話し始める。その釉薬は神崎清祥が独自に開発したもので、絵莉子さえもその製法を知らない。そのため神崎の死と共に釉薬も幻となってしまったというのだ。高木はそんな価値ある存在だったはずの神崎を絵莉子はなぜ殺したのか、そして絵莉子の細い指で大の男を絞め殺せるのかと思いを巡らせる。
 翌日の取り調べで、高木は絵莉子が神崎と再婚するまでの経緯を聞く。絵莉子は二十三歳の時に高校の数学教師・園部恵一と結婚したが、園部は四年目の結婚記念日に交通事故で亡くなった。絵莉子が神崎清祥と出会ったのはその二年後。絵莉子は神崎と交際している時、行方不明になった妻の写真を見せられた。その妻は絵莉子にとてもよく似た人だったという。2人は互いに過去に傷を持つ同士で再婚をしたのだった。
 翌日、犯行の行われた世田谷の神崎家別宅で実況検分が行われた。絵莉子は殺害現場となった居間で犯行の再現をする。しかし体が震え、最後まですることができない。それをじっと見ていた高木はこれから鎌倉の本宅に行こうと世田谷署の刑事たちに突然の提案をする。高木は絵莉子の供述による不自然な時間の空白は、犯行現場が鎌倉の本宅だからではないかと推測していた。
 鎌倉の本宅に到着した高木は、鎌倉署の刑事らと合流し、資産家の息子らしい豪邸の広大な庭を歩いていた。すると、一人の刑事が縁側に紫陽花の花束が置いてあるのを発見する。鎌倉署の刑事によれば事件の翌日にはなかったものだという。高木が絵莉子に花束についての意見を求めると、絵莉子は神崎のファンが置いていったのではないかと答える。しかし高木はその答えに不自然さを感じる。絵莉子のトレードマークである紫陽花をファンが神崎に供えるだろうか?高木は犯行現場がこの鎌倉の本宅である可能性がないか、また紫陽花の花束について調べるよう刑事たちに頼む。
 その時ふいに高木の携帯が鳴った。絵莉子の妹で高木のかつての恋人・野村麻由美からの呼び出しの電話だった。その夜、高木は麻由美に指定されたスナック「ロイド」に向かい、麻由美と12年ぶりの再会を果たす。そこは事件当日に絵莉子が寄った場所だった。
 高木は麻由美にどうして自分が絵莉子の事件を担当しているのを知っているのか、何故この店を指定したのかを聞くが、麻由美は高木の質問には答えず、「姉を追い詰めた誰かがきっといるはず。姉には内に秘めた激しさがあるのだ」と言い残して去る。一切釈明しない絵莉子、不可解な時間の空白、麻由美の謎の言葉、そして紫陽花の花束…。高木はこの事件の背後に深い深い闇があると直感する…。